テナント知恵袋

2023.09.09

店舗物件における「定期借家契約」と「普通借家契約」の違いと入居者にとってのメリット・デメリットを教えてください。

店舗物件に関して、日本の賃貸契約における「定期借家契約」と「普通借家契約」の違いとそれぞれの入居者にとってのメリット・デメリットを以下に説明します。

定期借家契約とは
予め契約終了日が定められている賃貸契約。この契約期間が満了した場合、原則として契約は更新されず、入居者は物件から退去する必要がある。

メリット
1. 明確な期間
事業計画と合わせて、物件の使用期間を予め計画することができる。
1年未満の契約も可能なため、取り壊し予定の物件を一時的に契約することも可能で、賃料も普通借家契約より安く借りられる場合がある。

2. 契約更新の交渉が不要
契約期間終了時に自動的に終了するため、更新の際の交渉や条件変更を心配する必要がない。
なお、1年以上の契約の場合は、契約終了の1年~6か月前までに「定期建物賃貸借契約終了についての通知」を賃貸人から受け取ることになっている。

デメリット
1. 期間満了時の移転
契約期間が終了すれば、原則として物件から退去しなければならない。新しい物件の探し始めや移転に伴うコストが発生する。
2. 短期的なビジョン
長期的な展開や店舗拡大を考える際には、物件の継続利用が難しい場合がある。
特に、投資が重い回収期間の長くかかる業種(飲食店・美容室など)は、慎重に考えた方がよい。
また、中途解約は原則不可だが、特約等に取り決めがある場合にのみ可能。

普通借家契約とは
1年以上の契約期間で賃貸契約を結ぶ方式。原則として、テナントが契約を続けたい場合は、更新が可能。

メリット
1. 継続利用の容易さ
契約の更新が可能なため、ビジネスが好調であれば、同じ物件を長期間使用することができる。
店舗改装などの投資も回収期間を長めに設定して検討可能。金融機関の融資にも有利。
2. 柔軟性
物件の利用状況や事業計画に応じて、契約の更新や解約を考えることができる。

デメリット
1. 更新時の不確実性
自動更新の場合もあるが、契約更新の際に、大家との交渉が必要となる場合もあり、更新料や賃料の上昇などの条件変更が生じる可能性がある。
ただ、正当事由制度と法定更新制度があるため、大家側に正当事由がない限り大家側からの更新拒絶は難しい。
2. 賃料の増減
契約期間中、当事者は賃料の増減の請求が可能となっている。

どちらの契約が適しているかは、事業の規模、期間、将来的な展望などの要因によって変わります。
契約前には、専門家や弁護士のアドバイスを受けることをおすすめします。

店舗物件における「定期借家契約」と「普通借家契約」の違いと入居者にとってのメリット・デメリットを教えてください。